世界が終わる。 世界が終わった。 ……がいるのに。 いや、まだ諦めるのは早い。 …大切なものを守るために。 「私が行こう。」 「私もご一緒します。」 カーネルは静かにそう言い、私の目を見た。 ああ、カーネル。…ありがとうな。 「行っちゃ駄目だ、バレルさん!!」 熱斗はそう叫び、俺を止めようとする。 …すまない。でも、止まる訳にはいかないんだ。 そうだ。これを熱斗に託しておこう。 彼ならきっといつかに届けてくれると思うから。 バレルは首にかけていたドッグタグを外し、熱斗に渡す。 「……熱斗君、これを預かってほしいんだ」 「これ、バレルさんの………?」 「という女で、私を知っているやつがいたらそいつを渡してくれ。」 「…またな。」 「バレル……」 「こんなことならメールアドレス位訊いておくんだった…」 私はベッドの上にごろんと転がった。 「どうして来ないのかな?」 もう2ヶ月は来てないよ。 …忙しいんだろうけど。 でもさ… 「さみしいな」 気がつかないうちに、そう口にしていた。 さみしい? 私が、さみしい? 涙が、溢れてきて、 …止まらなかった。 「どうして、来ないの?馬鹿…」 こんなに会いたいって思っているのに。 「バレル…」 「本当に、気が付いたのに…」 あなたのことをとても愛しているということに。 「会いたいよ……」 あなたにちゃんと思いを伝える為に。 072.色のない世界 |